わたしがカウンセラー養成スクールの姉妹校を開校したいと思ったのは、通学していたスクールの先生の考え方が好きだったから。
少人数制
講座自体がカウンセリング
一人一人に寄り添う
アットホームな環境
通学しているときは、その先生をリスペクトしていた。
しかし、姉妹校をするとなった途端、彼は全く別の顔を見せたのだった。
ある意味、わたしは自分の想いが裏切られたように感じた。
「主婦が自営したいって、金があるからやってんやろ」
「お前とこはええな。旦那に言うたら金だすんやろ?」
「お前カウンセリング下手やな。相手が落ちそうになったら、そっと手を握るんや。そしたら泣きよる。お前はそれができてない」
「接待は任せたからな。うちのスタッフも一緒にうまいもん食わしてやってくれ」
「本校があるからお前とこは成り立ってる。本校をお前は潰す気か?」
「所詮(しょせん)主婦のお遊び。最近傲慢になってんちゃうか?」
etc.
なんども涙がでそうになるくらい悔しい思いをした。
これがカウンセラーのいう言葉なのか?
毎月、家賃・光熱費・ロイヤリティで30万円を振り込んだ。
実際の家賃などは知らなかった。
やめるときに知ってびっくりしたものだ。
その人がやめるとき、わたしに言ったこと
「お前が一番偉いなと思ったことは、3年間一度も “毎月の振込を待ってくれ” とか ”払えない”とか言わなかったことだ。きっちり毎月振込されていたことだ。」
姉妹校を始めてすぐに
「あー、わたしはこの人を先生とは思えない。このスクールの方針には裏表があった。あなたもカウンセラーなら、この道を指導する立場なら、言葉を選んだほうが良い。」
と思った。
しかし、なんでも石の上にも三年いれば暖まるという。
3年は続けようと決めた。
彼は、わたしやうちのスタッフによく言っていた。
「俺には俺の成功哲学がある」
この3年間は、泣きながらも修行させてもらう期間にもなった。
姉妹校を始めて、すぐにエサレン研究に行く機会も得た。
ワークショップは楽しかった。
アメリカのトレーナーから受けるゲシュタルトは、流石にすごかった。
それを経験させてくれたことには、本当に感謝している。
わたしが大学を卒業して、認定心理士をとったとき、彼はメールでこう伝えてきた。
「これで、西川さんはわたしより上です。高卒の私と違い、大学を卒業して資格を得た。わたしより上です」
わたしは、そんな言葉が欲しかったのじゃない。
「おめでとう。頑張ったね」
ただそのひと言でよかったんだ。
40過ぎの主婦が自営をすること、女性が仕事をすることが片手間のように見られていた時代。
“ここと縁を切ろう”と踏ん切りがついたのは、姉妹校を閉める最後の卒業生を送る食事会のときだった。あのときほど悔しく、情けなく、ここから離れようと強く思ったことはなかった。
そして、わたしの新たなる夢はこの日から始まった。
つづきは、また明日に。
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